後悔する退職金の受け取り方

ライフプランニング

退職金で後悔する人「何も考えずに退職金もらって、あっという間に使い切ってしまった、、、これから先どうしよう、、、」

後悔先立たず。

これから退職金をもらう人は後悔しない受け取り方を選択して人生100年時代を攻略しましょう。

本記事の内容

まずは退職金の受け取り方について

1. 退職金の受け取り方は3種類

退職金の受け取り方は3種類ある

3種類の退職金の受け取り方はこちら

  • 「一括」で受け取る
  • 「年金」で受け取る
  • 「一括と年金を併用」して受け取る

一つずつ見ていきましょう。

退職金を「一括」で受け取る

退職金を全額一度にもらうパターンです。人によっては2,000万円くらいのお金が一度に入ってくるかもしれません。無駄遣いしてしまったら、あとは公的年金で生き延びましょう。

退職金を「年金」で受け取る

一度に大金が手に入ったら怖いという方は「年金」として分割で受け取る方法があります。少しずつ受け取るのであれば無駄遣いしないで済みそうですね。

退職金を「一括と年金を併用」して受け取る

ある程度まとまった額をもらって、あとは分割で少しずつ受け取る方法です。例えば、住宅ローンの残りを先に完済したい場合や、退職祝いに旅行する場合はいい方法かもしれません。

2. 「一括」「年金」「一括と年金の併用」で受け取る場合のそれぞれのメリット・デメリットは?

「一括」「年金」「一括と年金の併用」で受け取る場合のそれぞれのメリット・デメリットは?
それぞれのメリット・デメリットを確認して、自分はどの方法で受け取るのが最も良いのか考えてみましょう。正解はありません。後悔しない自分に合った受け取り方を考えてみてください。

退職金を「一括」で受け取る場合のメリット・デメリット

退職金を「一括」で受け取る場合のメリットは、納める税金が一番安く済むということです。

退職金を一括でもらう場合の納める税金について見てみましょう。

納める税金(所得税)=(課税退職所得金額×所得税率−控除額)×102.1%

分からないところがいきなり4つ出てきました、、、
「課税退職所得金額」と「所得税率」と「控除額」と「なぜ102.1%を掛けるのか」です。

一度深呼吸して、一つずつ確認しましょう。

まずは「課税退職所得金額」から。

課税退職所得金額=(収入金額−退職所得控除額)×1/2

「収入金額」は退職金の金額です。
「退職所得控除額」は勤続年数が20年未満か20年以上かによって2つに分かれます。

勤続年数が20年未満の場合

退職控除所得額=40万円×勤続年数

勤続年数は1年未満の部分がある場合、1年に切り上がります。
18年と1日で退職した場合の勤続年数は「19年」です。

勤続年数が20年以上の場合

退職控除所得額=800万円+70万円×(勤続年数−20年)

800万円の部分は、勤続年数が20年未満の場合の「40万円×勤続年数(20年)」から来ています。20年以上働いた部分については、控除額が増えて1年当たり70万円になるんですね。

「課税退職所得金額」の求め方は解決しました。

次は「所得税率」と「控除額」について確認しましょう。

納める税金(所得税)=(課税退職所得金額×所得税率控除額)×102.1%

「所得税率」と「控除額」は『退職所得の源泉徴収税額の速算表』で確認出来ます。

退職所得の源泉徴収税額の速算表

  課税退職所得金額  所得税率   控除額
      195万円以下    5%    ー
 195万円超330万円以下   10%   97,500円
 330万円超695万円以下   20%  427,500円
 695万円超900万円以下   23%  636,000円

課税退職所得金額が200万円の場合は、所得税率10%、控除額97,500円なので、
所得税額=(課税退職所得金額×所得税率−控除額)×102.1%
所得税額=(200万円×10%−97,500円)×102.1%
所得税額= 104,652円 
よって、納める税金(所得税)は104,652円となります。

最後の疑問は「なぜ102.1%を掛けるのか」ですね。

納める税金(所得税)=(課税退職所得金額×所得税率−控除額)×102.1%

これは「復興特別所得税」です。2011年3月11日に起きた東日本大震災の被災地復興の為に設けられました。2013年1月1日から2037年12月31日までの間は所得税率に102.1%を掛けると覚えておきましょう。

これで退職金を一括で受け取った場合の所得税の求め方が分りましたね!では、復習の為に下のケースの税金を算出してみましょう。

勤続年数33年5ヶ月、退職金2,000万円の場合の納める税金は?

ステップ1:「勤続年数」
1年未満の部分は1年に切り上がるので、33年5ヶ月は「34年」で計算します。

ステップ2:「退職所得控除額」
勤続年数は20年以上なので、
退職控除所得額=800万円+70万円×(勤続年数−20年)
退職控除所得額=800万円+70万円×(34年−20年)
退職控除所得額=1,780万円

ステップ3:「課税退職所得金額」
課税退職所得金額=(収入金額−退職所得控除額)×1/2
課税退職所得金額=(2,000万円−1,780万円)×1/2
課税退職所得金額110万円

ステップ4:「所得税率」と「控除額」
『退職所得の源泉徴収税額の速算表』より、
課税退職所得金額が110万円の場合は、所得税率5%控除額0円

ステップ5:「所得税額」
所得税額=(課税退職所得金額×所得税率−控除額)×102.1%
所得税額=(110万円×5%−0円)×102.1%
所得税額56,155円

ステップ6:「住民税額」
住民税率は10%です。
住民税額=課税退職所得金額×10%
住民税額=110万円×10%
住民税額=11万円

よって、納める税金は所得税額+住民税額=16万6,155円となります。
手取り額は、2,000万円から16万6,155円を引いた1,983万3,845円ですね。
ちなみに勤続年数が33年5ヶ月の場合、退職控除所得額は1,780万円なので、退職金が1,780万円以下の場合、納める税金は0円です。大金が手に入って税金0円って素晴らしいですね!退職金は一括でもらうと納める税金が安く済みます。

では、デメリットはなんでしょう?

退職金を一括でもらうデメリットは「一度に大金が手に入る」ということです。

想像してみてください。一生懸命働いたご褒美に1,000万円以上のお金が振り込まれた口座を。

今まで頑張ったんですから100万円くらい使ってもバチは当たらないですよね?

将来をちゃんと考えている方は、資産運用をするかもしれません。
新型コロナウィルスが世界を襲った2020年3月。日経平均は24,000円から16,500円まで下がりました。1,000万円を日本株にしていたら687万5,000円になっています。節税の為、退職金を一括にしたのにこれでは意味がないですね。

退職金を「年金」で受け取る場合のメリット・デメリット

一度に大金が手に入ったら怖いという方は「年金」として分割で受け取る方法があります。メリットは無駄遣いしにくいことと、将来受け取るまでの間、資産運用出来る点です。資産運用の結果、資産が減ってしまう可能性もありますが、、、

デメリットは「一括」で受け取る場合と比べ、税金が高くつくことです。
退職金を「年金」で受け取る場合の税金を見てみましょう。

公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以降)

受給者の年齢  公的年金等の収入金額(年額)  公的年金等控除額
65歳未満 130万円未満     60万円
130万円以上410万円未満 年金額×25%+27.5万円
410万円以上770万円未満 年金額×15%+68.5万円
770万円以上1000万円未満 年金額×5%+145.5万円
65歳以上 330万円未満    110万円
330万円以上410万円未満 年金額×25%+27.5万円
410万円以上770万円未満 年金額×15%+68.5万円
770万円以上1000万円未満 年金額×5%+145.5万円

65歳以上の人が退職金を年180万円ずつもらう場合の所得(雑所得)は、
雑所得=公的年金等の収入金額−公的年金等控除額
雑所得=180万円−110万円
雑所得=70万円

公的年金等の受給がある場合は企業年金に合算して計算します。
65歳以上の人で退職金を年180万円、公的年金を年120万円受給される人の雑所得は、
雑所得=公的年金等の収入金額−公的年金等控除額
雑所得=(180万円+120万円)−110万円
雑所得= 190万円

納める税金はどうなるのでしょうか?

所得税の速算表

  所得金額  税率   控除額
      195万円以下    5%    ー
 195万円超330万円以下   10%   97,500円
 330万円超695万円以下   20%  427,500円
 695万円超900万円以下   23%  636,000円

✅ 65歳以上の人が退職金を年180万円ずつもらう場合の雑所得は70万円でしたね。
所得税額は、
所得税額=(所得金額×税率−控除額)×102.1%
所得税額=(70万円×5%−0円)×102.1%
所得税額= 35,735円

✅ 65歳以上の人が退職金を年180万円、公的年金を年120万円受給する場合の雑所得は190万円。
所得税額=(190万円×5%−0円)×102.1%
所得税額= 96,995円

✅ 退職金を一括(勤続年数34年、退職金1,780万円)でもらって、公的年金を年120万円受給する場合、退職所得は0円、雑所得は10万円(公的年金等の収入金額120万円−公的年金等控除額110万円)。
所得税額は、
所得税額=(10万円×5%−0円)×102.1%
所得税額= 5,105円

退職金を「年金」でもらう場合は、所得税と住民税が高くなるだけでなく、社会保険料や介護保険料も高くなります。また医療費の窓口負担は、通常70〜74歳は2割負担、75歳以上は1割負担ですが、年金収入が多くなりすぎると3割に引き上げられる可能性も出てきます。

退職金を「一括と年金の併用」で受け取る場合のメリット・デメリット

メリットとデメリットは「一括で受け取る場合」と「年金で受け取る場合」の両方に当てはまります。

税金は「一括で受け取る」より高く、「年金だけで受け取る」より安くなります。

お金を使える自由度は、「一括で受け取る」より低く、「年金だけで受け取る」より高くなります。

無駄遣いのリスクは、「一括で受け取る」より低く、「年金だけで受け取る」より高くなります。

3. 退職金を受け取った後の人生設計

退職金を受け取った後の人生設計
退職金を「一括」「年金」「一括と年金の併用」で受け取る場合のそれぞれのメリット・デメリットについて見てきました。

繰り返しになりますが受け取り方に正解はありません。

ただ後悔しないように、自分や配偶者、子や孫の状況や性格を考えて決めてください。100歳まで生きることも当たり前になってきました。若いうちは働けばお金はなんとかなりますが、歳をとってからは体力が無くなったり、雇ってくれなかったりとお金を稼ぎづらくなります。お金を稼げなくなった時の収入と支出を考え、退職金を有効に使って人生100年時代を攻略しましょう。

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